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俳句
定住するノマドの
鉛筆、
はだしのシラブル |
虹のむこうに
網はない
わたしの曲芸 |
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凍てつく夜、
魔女の唱和が
月をあたためる |
どんな空にも
おさまらない
鴎の飛行 |
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ハイクひとつ、
ひとぬり、ふたぬりで
絵画さえできる |
国歌もない
国旗もない
ただたくさんの虹が |
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うまくとぶものだ
すれたノミは
テレビのなかで |
電車では、マホメットでも、
キリスト、ブッダ、大いなる無でも
シートは同じ |
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真珠と涙
骨にまぎれて
火葬 |
裂けた茎
ひからびた花びら、
バンコクの娘たち |
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白い蝶、
おまえの青い羽に
世界が息づく |
おまえの呼吸は
わたしの部屋を
どんな虚無からも救う |
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裸のおまえ、
狂気のまなざし
永遠の |
爪が深く
愛を彫りつける
わたしの背中 |
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エロス、タナトス、
つらなる心と
精液の玉手箱 |
へびがくたばり、
太陽の道では
かえるの舞 |
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だんまり猫、
犬の吠え声、
ただよう陰と陽 |
オム
リンク |
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刀には刀、
雷光
天使の手から |
テーブルの上に
白い花束、
婚礼の靴 |
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赤い花
氷にまぎれ
珊瑚となる |
ヘテロ、ゲイ、レズ、バイ
トランス、トランスジェンダー、
いくつもの花びら |
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雪、
放浪者たちの
婚礼のテーブルクロス |
こころのくぼみ
崖にて、
わたしの息子はいずこ? |
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日暮れ、
太陽は
わたしの思い出の花 |
鷲、日暮れ
夜のとばり、
大いなる母 |
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死の背中は
探しても無駄。
そうして死はほほえむのだ |
狂気、
ぺンのなかで
決してひからびないインク |
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夜に問いかければ
星で
わたしに答えてくる |
目のなかに
水平線
沈黙 |
up |
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